
会話がなくなったわけではない。ただ、話す内容は日々の段取りや確認ごとが中心になり、「親」として過ごす毎日の中で、気持ちや違和感を言葉にする余白は、少しずつ後回しになっていく。そんな変化に、心当たりのある人もいるかもしれません。
今回お話を伺ったのは、CRAZY社員のモトコさんとパートナーのトモヨシさん。 モトコさんは仕事で外に出る時間が多く、在宅で働くトモヨシさんに、日々の暮らしを支えてもらうことが多いと言います。そうした支え合いの中で、ふたりの会話のかたちも、少しずつ変わっていきました。
子どもがいる今、「ふうふ」として向き合う時間を持つという選択。 その先にあった体験を、インタビューを通してお届けします。
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—— 結婚当初のおふたりは、どんな関係性だったのでしょうか?
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とにかく何でも話していました。良いことも悪いことも。仕事の相談も、自分が思っていることは何でも話したいと思えましたし、対話する時間をすごく大事にしていました。どこへ行っても、何をしていても、話しているだけで楽しいと思えました。

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—— 結婚生活が進む中で、変化したことはありますか?
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話していて楽しいという気持ちは、今も変わりません。ただ日常の中で話す時間そのものは、少しずつ減っていった感覚があります。まず話すのはいつも “やらなきゃいけないこと” で「こないだ頼んだ支払いやってくれた?」みたいな、子どものことや家を回すために必要な確認で終わってしまう。特に、息子が生まれてからは優先順位も変わり、深い話にたどりつくまでの余白がなくなっていきました。
結婚後は、お互いの転職や、親の最期を見届ける時間、妊娠・出産など、次々とライフイベントが重なり、人生の中で乗り越えなければならないことに向き合う時間が続きました。会話をしながら対峙してはいるものの、心を落ち着かせて“今、自分はどう感じているのか”、“相手はどう思っているのか”、“これを伝えたい”と立ち止まって考える余裕は、ほとんどなかったように思います。恋人から家族になっていくと、身近な存在だからこそ、自分の話をしなくなっていく。心配をかけたくないという気持ちや、言わなくても分かるだろうという甘えも、きっとあったと思います。
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—— 今はどのようにふうふの時間をつくっていますか?
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今もデートの時間は、どうにか作っています。2ヶ月に一度くらい映画に行ったり、ショッピングモールまで買い物に行ったり。意識的にふたりの時間をつくろうとはしているものの、なかなか難しいのが現実で、もう少しゆっくり話したかったなと思うことも少なくありません。
今日もこれを言いそびれたなというモヤモヤが、少しずつ溜まっていく。たとえば、玄関に置きっぱなしのベビーカーや、いつ処理するのか決まらないままのギター。どれも些細なことですが、“いつ、どうするか”が決まらないまま残り続けることで、物だけでなく、気持ちも宙ぶらりんになっていく。伝えきれなかった想いが、少しずつ不満へと変わっていったように感じています。
